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2010年01月30日

おむすびころりん

むかしむかし、木こりのおじいさんは、お昼になったので、切りかぶに腰をかけてお弁当を食ベる事にしました。

「うちのおばあさんがにぎってくれたおむすびは、まったくおいしいからな」

 ひとりごとを言いながら、タケの皮の包みを広げた時です。
 コロリンと、おむすびが一つ地面に落ちて、コロコロと、そばの穴ヘ転がり込んでしまいました。

「おやおや、もったいない事をした」

 おじいさんが穴をのぞいてみますと、深い穴の中から、こんな歌が聞こえてきました。
♪おむすびコロリン コロコロリン。
♪コロリンころげて 穴の中。

「不思議だなあ。誰が歌っているんだろう?」

 こんなきれいな歌声は、今まで聞いた事がありません。

「どれ、もう一つ」

 おじいさんは、おむすびをもう一つ、穴の中へ落としてみました。
 するとすぐに、歌が返って来ました。
♪おむすびコロリン コロコロリン。
♪コロリンころげて 穴の中。

「これは、おもしろい」

 おじいさんはすっかりうれしくなって、自分は一つも食ベずに、おむすびを全部穴へ入れてしまいました。

 次の日、おじいさんは昨日よりももっとたくさんのおむすびをつくってもらって、山へ登っていきました。
 お昼になるのを待って、コロリン、コロリンと、おむすびを穴へ入れてやりました。
 そのたびに穴の中からは、昨日と同じかわいい歌が聞こえました。

「やれやれ、おむすびがお終いになってしまった。
 だけど、もっと聞きたいなあ。
 ・・・そうだ、穴の中へ入って頼んでみることにしよう」

 おじいさんはおむすびの様にコロコロころがりながら、穴の中へ入って行きました。
 するとそこには数え切れないほどの、大勢のネズミたちがいたのです。

「ようこそ、おじいさん。おいしいおむすびをたくさん、ごちそうさま」

 ネズミたちは小さな頭を下げて、おじいさんにお礼を言いました。

「さあ、今度はわたしたちが、お礼におもちをついてごちそうしますよ」

 ネズミたちは、うすときねを持ち出して来て、
♪ペッタン ネズミの おもちつき。
♪ペッタン ペッタン 穴の中。
と、歌いながら、もちつきを始めました。

「これはおいしいおもちだ。歌もおもちも、天下一品(てんかいっぴん)」

 おじいさんはごちそうになったうえに、欲しい物を何でも出してくれるという、打ち出の小づちをおみやげにもらって帰りました。

「おばあさんや、お前、何が欲しい?」

と、おじいさんは聞きました。

「そうですねえ。色々と欲しい物はありますけれど、可愛い赤ちゃんがもらえたら、どんなにいいでしょうねえ」

と、おばあさんは答えました。

「よし、やってみよう」

 おじいさんが小づちを一振りしただけで、おばあさんのひざの上には、もう赤ちゃんが乗っていました。
 もちろん、ちゃんとした人間の赤ちゃんです。
 おじいさんとおばあさんは赤ちゃんを育てながら、仲よく楽しく暮らしましたとさ。

おしまい
posted by kanpaku at 06:28| 日本昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月13日

こぶとりじいさん

むかしむかし、あるところに、ほっぺたに大きなこぶのあるおじいさんが住んでいました。
 おじいさんがまきを割る度に、ほっぺたのこぶが、ブルルン、ブルルン。
 それはそれは、とても邪魔なこぶでした。
 でもこのおじいさん、そんな事はちっとも気にしない、とてものんきなおじいさんです。
 同じ村にもう一人、ほっペたにこぶのあるおじいさんが住んでいました。
 こっちのおじいさんは、この邪魔なこぶが気になってか、いつもイライラ怒ってばかりです。

 ある日の事、のんきなおじいさんは、森の奥で木を切っていました。
 すると、いつの間にやら、ポツリ、ポツリと雨が降り出して、とうとう土砂降りになってしまいました。

「いかんいかん、このままでは風邪をひいてしまう」

 おじいさんは大きな木のうろに飛び込んで、雨宿りをしました。
 そのうちおじいさん、ウトウトと眠り込んでしまったのです。

 やがて雨が止んでも、明るい月が出ても、おじいさんはグーグー、グーグーと高いびき。
 いつの間にやら、真夜中になってしまいました。
 するとどこからか、賑やかなおはやしの音が聞こえてきたではありませんか。

「おや、どこからじゃろ?」

 目を覚ましたおじいさんは、その音のする方へ近づいて行って、

「うひゃーーー!」

と、びっくり。
 何と、この森の奥に住む鬼たちが、輪になって歌い踊っていたのです。
♪ピーヒャラ、ドンドン。
♪ピーヒャラ、ドンドン。
 赤い鬼、青い鬼、黒い鬼、大きい鬼、小さい鬼。
 みんな、飲んで歌っての大騒ぎです。
 最初は怖がっていたおじいさんも、そのうちに怖さを忘れて思わず踊り出してしまいました。
 それを見て、今度は鬼が驚きました。

「あんれ、これは面白い踊りじゃ」

 おじいさんの踊りがあまりにも上手で楽しいので、今度は鬼の方がおじいさんと一緒になって踊り始めました。
 そしてとうとう鬼のお頭が立ち上がって、おじいさんと手を取り合って踊りました。
 のんきなおじいさんと陽気な鬼たちは、時が経つのも忘れて踊り続けました。
 そのうちに、東の空が明るくなってきました。
 もう、夜明けです。

「コケコッコー」

「ややっ、一番鳥が鳴いたぞ」

 朝になると、鬼たちは自分の住みかに帰らなくてはなりません。

「おい、じいさんよ、今夜も踊りに来いよ。それまでこのこぶを預かっておくからな。今夜来たら、返してやるから。・・・えい!」

 鬼のお頭は、おじいさんのこぶをもぎ取ってしまいました。
 おじいさんは、思わずほっペたをなでました。

「おおっ、こぶがない」

 傷も痛みも残さずに、おじいさんのこぶはきれいに無くなっていたのです。

 それから村へ帰ったおじいさんは嬉しさのあまり、もう一人のこぶのおじいさんに夕べの事を話しました。

「何! 鬼が取ってくれただと」

 こっちのおじいさん、うらやましくてなりません。

「よし! それらなわしも、鬼にこでを取ってもらおう」

 そしてもう一人のおじいさんは、夜になると森の奥へ出かけて行きました。
 やがて、おはやしの音が聞こえてきました。

「あそこへ行けば、こぶを取ってもらえるのだな」

 おじいさんは、輪になって踊っている鬼たちの方へ歩いていきましたが、鬼の怖い顔を見た途端、足が震えて歩けなくなりました。

「こっ、怖いなー」

 でも、鬼の所へ出て行かないと、こぶは取ってもらえません。
 おじいさんは、思い切って鬼の前に飛び出しました。

「よっ、待ってました!」

「じいさん、今夜も楽しい踊りを頼むぞ!」

 鬼たちは、大喜びです。
 でも、鬼が怖くてブルブル震えているおじいさんに、楽しい踊りが踊れるはずはありません。

「何だ、あの踊りは?!」

  とても下手な踊りに、鬼のお頭はだんだん機嫌が悪くなって来ました。
 そして怒った鬼のお頭は、、

「ええい、下手くそ! こんな物は返してやる。二度と来るな!」

 ペタン!
 こうしてこのおじいさんは、ほっぺたにもう一つのこぶを付けられてしまったのです。

おしまい
posted by kanpaku at 06:48| 日本昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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